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『冬の蕾 』―――従軍慰安婦に関する三冊の本(2)

  近衛文磨の「特殊慰安婦施設」から考える
       ―――政府と民間業者との連携


     前回のブログでは、石坂さんの「突撃一番」を読むことから、日本人慰安婦と朝鮮人・韓国人慰安婦の有り様の一端を考えてみましたが、そのおおまかな構図は、数多くの女性たちが、経済的困窮や借金のカタなどによる「身売り」や皇国臣民の〈義務〉としての「女子挺身隊」といった名目で、脅かされたりすかされたりだまされたり泣き落としにあったりと、様々な形で戦地の慰安所に送り込まれたということです。例えば、記憶にも新しい『11PM』の「日帝36年」に登場したおばあちゃんの場合は、借金によって無理矢理にというものでした。
     そして、そうしたことが、たとえ直接的には民間業者によっておこなわれたものだとしても、それを当時の「合法性」の下に肯定あるいは支持するとすれば、それは、まさしく、当時の「女衒・口入れ屋」のたぐいの行為を正当化し、その立場に立つことに他ならないのです。そうした見解を今世界に発信するなど、真っ当な感覚ではあり得ないことです。(現在の肯定論者は、恐らく、もしその時代に生きていたとしたら、喜々としてその流れに乗ったのでしょう!)

     もう一つ、大事な点は、こうした「従軍慰安婦」制度における〈官民連携〉にたいする視点です。すなわち、例えば、アイちゃんの場合は巡査が介在していましたが、さらに、軍上層部そして政府上層部との関連はどうだったのでしょう。今日紹介したいのは、この点に関わるものです。


樹村みのり著、船橋邦子解説『冬の蕾 ベアテ・シロタと女性の権利』(労働大学出版センター、2005年)

     昨年なくなられた、ベアテ・シロタ・ゴードンさんは、戦後、GHQの憲法草案制定会議のメンバーの一人で、日本国憲法24条((家族生活における個人の尊厳と両性の平等)の草案を執筆した人物として知られています。上記の本は、その意義を解説した本ですが、その一部に、次のような部分があります。    

A「聞いた?ベアテ 今ね どこの師団に一番性病が多いか 医務局の話題ですって。へんなところへ通うから自業自得よね。」
A「それがね 信じられない話だけれど 日本政府はアメリカ軍が要求もしないのに アメリカ兵のために―――と 早々と コール・ガールのサロンを用意したのよ。
C「なんて言ったかしら 日本語で」
ベアテ「特殊慰安婦施設」
D「警視総監が陣頭指揮を取って 業者に委託して 政府がそのサロンに融資しているのよ。」
E「食べるのも大変なときですもの 中には慰安婦がコール・ガールのことと知らずに応募してきた女性も多いらしいわ。」
ベアテ「この話を推進したコノエという男は 何度も日本の首相を経験した公爵だというからおどろくわね。日本人って なんて クレージーなのかしら。」

     ベアテさんは、GHQの民政局に属していましたから、上記の会話は、民政局の女性職員の間でかわされたものです。国家総動員法の近衛文麿が、米軍による占領直後の状況の中で、政府が資金を出資し、民間業者と連携をとりながら、「特殊慰安婦」施設をつくり、米兵に日本女性を提供する仕組みの形成を推進したということなのです。これを、アメリカの女性たちは「クレージー」と表現していますが、こうした対応を日本の男と女はどう捉えるのでしょう。

     勿論、これに対して、橋下大阪市長なら、それは誰でも理解できることだ、と答えることでしょう。戦争に負けた「敵」兵に、日本の「女性」を、いろいろな理由を付けて、差し出すことに。〈提供〉された女性たちは、内心どう思ったことでしょう。そして、その家族や隣人たちは。

     それにしても、近衛らは、どうしてこのように迅速にことを進めることができたのでしょうか。いうまでもなく、それは、こうした日本「国家」のやり方には「先例」があったからなのです。そして、その原点は、恐らく、「南京」にあるのです。

(続く)

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SARO MURIKI

Author:SARO MURIKI
おりこうさんのワンワンです。年齢は、2018年11月現在満12歳です。見てのとおりの柴ですが血統書はありません。性別はオスで、飼い主には、朝夕、45分ずつ2回の散歩を義務付けているVIP犬、正確に言うと、VIDです。文句あっか?!

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