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SAMURAI SPIRIT・勝海舟のピースバンド

 我が<しもべ>たる飼い主は、いよいよ、わけのわからないようなことを口走るようになってきた。苗字がムリキなんで仕方がないとは思うけれど、早く師匠のところに行って稽古をしてきたほうがいいんじゃないのかな、と僕は思うけれど。

 前回は、「武士道」の究極目標が「平和」にあるのではないかという視点に触れたわけですが、実は、私の師匠も、「武闘派」―――実際の試合に出るという意味らしいのですが―――ということなのですが、日常的には極めて柔和で、優しいまなざしをもった人物なのです。確かに、若い人たちとの稽古を見ると確信に満ちた厳しさを強く感じますが、同時に、実によく相手のことを観察し的確なアドヴァイスをしてくれるという意味でも、深い思いやりさえ感じさせる人物なのです。というわけで、彼が「平和」を求めているかどうかは聞いたこともないし判りませんが、その印象は粗暴な「暴力」というものからはほど遠く、むしろ「平和」に近い存在と言ってよいと思うのです。
 ところで、剣道を始めた20年ほど前、読書好きの私は、早速、宮本武蔵の『五輪書』をはじめ、柳生宗矩の『兵法家伝書』、新渡戸稲造の『武士道』そして勝海舟の『海舟座談』や『氷川清話』などを読みました。そして、その時受けた強い印象の一つは、まさしく、武道を極めた武士たちの究極的目標は「闘わない」ことにあるのではないかということだったのです。たとえば、新渡戸稲造は、『武士道』の中で、「武士道がいかなる高さの非闘争的非抵抗的なる柔和にまで能く達しえたるかは、その信奉者の言によって知られる」と述べ、また、あとで見る勝海舟の一文を引用したあと、「『血を流さずに勝つをもって最上の勝利とす』。その他にも同趣旨の諺があるが、これらはいずれも武士道の窮極の理想は結局平和であったことを示している」と述べています。
 というわけで、今回はまず、新渡戸も注目している、勝海舟から見ておきたいと思います。
 
 勝海舟は、言うまでもなく、幕末、幕府海軍の中心人物であり、さらに、幕府陸軍の総裁として江戸城無血開城を実現した、まさしく代表的な幕臣(武士)の一人でした。また、彼は直心影流の免許皆伝で、剣術の腕前も相当なものであったようです。そうした彼が、意外にも、次のようなことを言っているのです。
「私は、人を殺すことが大嫌いで、一人でも殺したことはないよ。・・・刀でも、ひどく丈夫に結わえて、決して抜けないようにしてあった。人に斬られても、こちらは斬らぬという覚悟だった。」(『海舟座談』)
 また、「今とは違って、昔は世の中は物騒で、坂本(龍馬)も広沢(真臣)も斬られてしまい、おれもしばしば危ないめにあった、けれどもおれは、常に丸腰でもって刺客に応対した。」(『氷川清話』)
 幕府軍の最高司令官が実は『非武装主義者』だった?もちろん、政治家としての彼はいわゆる「勢力均衡論者」であったようですが、少なくとも、個人的には、「非武装」を貫いたことは確かなようなのです。それでは、このような生き方はどこから来たのでしょうか。これに関連して、彼は宮本武蔵について次のように言っています。
「この人は、仇があったので、初めは決して膝から両刀を離さなかったが、一旦豁然として大悟するところがあって、人間は、決して他人に殺されるものではない、という信念ができ、それからというものは、まるでこれまでの警戒を解いて、いつも丸腰でいたそうだ。」(『氷川清話』)
 つまり、勝は、<武士>の大先輩である「剣聖」宮本武蔵の真似をしていたといってもいいのかもしれないのです。さらに、彼はけっして無抵抗ではなかったのですが・・・・、
「こうやっていて斬りつけられたことなどは、度々あったが,いつでもこちらは抜いたことはない。始終、手捕りにしたよ。」(『海舟座談』)
 もう、お察しのことと思いますが、この「手捕り」とは、おそらく、これまた<武士>の大々先輩である柳生宗矩の『兵法家伝書』・「活人剣○無刀の巻」に見られるがごとき<無刀取り>を実践したと考えることも可能なのではないでしょうか。それでは、柳生宗矩『兵法家伝書』にみられる思想とはどのようなものだったのでしょうか。
 時間が来ました。これについては、また、次回に論じたいと思います。

追伸。 私は、10年ほど前、西欧の騎士道にも通じているスウェーデン系アメリカ人の青年に、先に引用した勝海舟の「刀でも、ひどく丈夫に結わえて、決して抜けないようにしてあった」ということを話したところ、彼はすぐさまに「それは、ピースバンド(Peace band)だ」と応じたのです。ということは、ヨーロッパの伝統の中にも勝と同じような思想が存在した可能性が大いに考えられるということです。まさしく、「平和」とは、世界の「武道」がもつ普遍的目標であるのかもしれません。

蛇足。彼の話によると、西洋人の『握手』は(友好の証として)袖口に短剣を隠していないことを相互に確認しあうことから始まった、ということでした。

 
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SARO MURIKI

Author:SARO MURIKI
おりこうさんのワンワンです。年齢は、2018年11月現在満12歳です。見てのとおりの柴ですが血統書はありません。性別はオスで、飼い主には、朝夕、45分ずつ2回の散歩を義務付けているVIP犬、正確に言うと、VIDです。文句あっか?!

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