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私のこの一曲―――ベートーヴェン交響曲第3番〈英雄〉

    「孤独」な魂が〈類〉と〈普遍〉に出会うとき――― 


     先日、古いノートの最後の余白に、こんなことが書き付けてあった。

   「 生きるとは 命の叫びであるべきだ   
     生きるとは 命に恋する歌であるべきだ
     生きるとは 狂おしく崇高なものを求めること
     生きることとは 心ときめき 踊ること
       あの草花と木々たちと   
       あの純真な眼を持つものたちと
       あの懐かしい人たちと  そして
       こんな命をつないでいく人々と 生きることだ
     生きるとは そんな命を燃やすこと
     生きるとは 生まれ、生き、永遠の命をつなぐ
       一つの命として存在することにほかならない 」

    こんな文を目にして、急に芭蕉の『おくのほそ道』を読みたくなった。芭蕉が旅に求めたものは何だったのだろうか。三日かかって読み直してみた。限りある人の命とこの世の「無常」を意識しながら、彼は、やはり、「千年」変わらない、自然と人の心を求めていたのではないか。そして、そんな彼の生き方こそ、行く先(死に場所)は自分が決める〈旅〉そのものだったに違いない、そんな気がした。ところで、彼の句の中で私の記憶に最も強く残っているものの一つが、 「 荒海や佐渡によこたふ天河 」である。この満天の星空のイメージは、昭和20年代、冬の北海道で見上げた夜空、そして、昭和40年代、初秋の八ヶ岳・美濃戸山荘付近から見上げた手の届きそうな星空など、〈個〉としての私が「普遍」と出会った衝撃的な印象と重なるものなのだ。

     ところで、このイメージから私が連想するものに、映画『不滅の恋・ベートーヴェン』の1シーンがある。この映画は、ベートヴェンの「不滅の恋人」は誰か(アントーニア・ブレンターノ?)といった点に関心が集まったのだが、私の記憶に残っているのは、若きベートヴェンが、草原に寝転び、一人見上げている満天の星々の情景なのである。この満天の星々と〈交感〉しあっているベートーヴェンの姿こそ、私にとって、彼の多くの作品の中に感取できる重要なイメージに他ならない。そして、交響曲第9番〈合唱〉とともに、こうした印象の最も強いものが、交響曲第3番〈英雄〉なのである。

     この曲にまつわる思い出は多い。ラジオから流れてきた 格調高く始まり、圧倒的な迫力で締め括られる、フルトベングラー=VPOの演奏に接した時の驚きは、凄まじいものだった。又、私が東京で初めて聴くことができた本格的な演奏会のプログラムは、サバリッシュ指揮・アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の〈エロイカ〉だったはずである。東京文化会館の最上階の席から、谷底を見下ろすように見た、その激しい動きを今でも思い出す。ついでに言うと、ミーハーの私は、演奏会後、サバリッシュにサインをもらいに行き、握手をして、「ダンケ・シェーン!」ぐらいは言って来たのだった。また、私がブロムシュテットのものをよく聴くようになったのも、ドレスデン国立管弦楽団との〈エロイカ〉を聴いてからのことだ。今は、古楽器によるガーディナー指揮=オルケストル・レヴォリュスョネル・エ・ロマンティク( ARCHIV,1993 )のものを聴くことが多いが、今日は、是非紹介したいもう一つの演奏がある。
     それは、リスト編曲による、シプリアン・カツァリス演奏のピアノ版(TELDEC,1985)だ。大規模なオーケストラによる演奏の雄大さや美しさとは質を異にするけれど、これは、実に「面白い」演奏なのだ。どんな感じかというと、まさしく、一人の「英雄」的なピアニスト個人が、「普遍」的なベートヴェンの最高傑作の一つを我がものにしようと、その深淵な〈何か〉と真正面から取っ組み合っている、そんな感じなのだ。それは、グレン・グールドの同じリスト編曲による交響曲第6番〈田園〉のピアノ版とは趣を大きく異にするものだ―――この曲をカツァリスも演奏しているが、グールドの曲自体を楽しむような穏やかなタッチがより心地よく感じる。確かに、ベートヴェンの〈エロイカ〉は、その〈生真面目さ〉や〈熱さ〉故に、少し剣呑だと感じるところもあるが、自分自身の人生を誰のものでもない自分自身の人生としたいと願う〈一般ピープル〉にとって、松尾芭蕉の『おくのほそ道』が与えてくれるのと同様の〈何か〉を感じさせてくれるように思われるのである。      
    今、ピアノ版の終楽章を聴いているが、「よく頑張ったね!ご苦労様!」と声をかけてやりたくなった。


    ※ こんなことを書きながら、私が昨日から一生懸命考えていることは、これからボールペンは何を買おうかということだ。私は、現在、職場で提供された、三菱 uni LaknockとJETSTREAMを使っているのだが、確かに書きにくくはないものの、やはり、「三菱」なのである。自分で購入するわけにはいかない。書き心地が最高なのは、体験上、PILOTのAcroball だ。ところが、昨日、私は、ホームセンターで、Acroballがなかったために、PILOTの HI・TEC・C COLETO・3を〈奮発して〉購入してしまったのである。HI・TECも悪くない。しかし・・・さて、どうすればいいのか。暫く悩もう。

     

ちょっと「英雄」的なサロさん

DSC_1704今年の春は





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SARO MURIKI

Author:SARO MURIKI
おりこうさんのワンワンです。年齢は、2018年11月現在満12歳です。見てのとおりの柴ですが血統書はありません。性別はオスで、飼い主には、朝夕、45分ずつ2回の散歩を義務付けているVIP犬、正確に言うと、VIDです。文句あっか?!

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