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『東海道四谷怪談』を観る――鶴屋南北の名作を楽しむ

  けれん味あふれる面白さ!
    ―――幸四郎・染五郎父子の「芸の継承」は?


         
国立劇場大劇場・ロビーにて
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   ※昨日(1月16日)、「2nd兄貴」と「姉貴」の3人で、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を観てきました。それも、初めてIMAX3Dというやつであの〈こだわり〉の作品を観たものですから、「う〜む!アメリカは侮れない」と、改めて強く思った次第です。やはり、ルーカスの「神話」は宮崎の「神話」(『風の谷のナウシカ』)の強力なライバルと言えるでしょう。
   それにしても、今の私は「道楽爺さん」そのものと言っていい有様です。年末から年始にかけて、歌舞伎を2回も観てしまいました。そんなわけで、今日はそのうちの一つについて報告しておきたいと思います。


12月22日 四世鶴屋南北=作 『通し狂言 東海道四谷怪談』
                      国立劇場・大劇場

     松本幸四郎  民谷伊右衛門・石堂右馬之丞
     市川染五郎  鶴屋南北・お岩・小仏小平、佐藤与茂七
              大星由良之助(5役) 




黄葉したイチョウーー国立劇場に向かう街路で
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   ※以前、染五郎のラスベガス公演について少し不満を述べたことがありましたが、今回の『東海道四谷怪談』については、〈娯楽〉としての歌舞伎を追求しようとする彼の「若さ」と姿勢が大変好ましく思われました。なにしろ、「早変わり」・「髪梳き」・「戸板返し」・「仏壇返し」・「宙乗り」等々、面白くてしょうがありませんでした。もちろん、なぜ私たち〈一般ピープル〉がこうした趣向を好むのかについては別途検討も必要なのでしょうが、こうした大変わかりやすい楽しさを否定しては歌舞伎の魅力は失われてしまうといって良いでしょう。
 
   ところで、今回のこの公演の特色の一つは、あの人形浄瑠璃ー歌舞伎作品として有名な『仮名手本忠臣蔵』との関係性を強調していることです。なぜ〈冬〉に『四谷怪談』なのかというと、赤穂浪士の討ち入り(12月14日)と関係があるからです。さらに、塩冶浪人・民谷伊右衛門とお岩との関係は、『仮名手本忠臣蔵』における早野勘平とお軽との関係(「元禄バージョン」)の「文化文政バージョン」と考えることもできるのではないでしょうか。ところで、赤穂浪士の討ち入りは荻生徂徠の『政談』にも出てくる大きな政治問題であったわけですが、『仮名手本忠臣蔵』は、ある意味で、武家社会の道徳「忠義」を逆手に取った幕政批判と言えるのでしょうし、さらにまた、その「忠義」それ自体に対する人間性の観点からする批判であったかもしれません。そう考えたほうが、封建的秩序に抵抗する「かぶき者」の理念に近いように私には思われます。そして、それがさらに鶴屋南北の時代になると、もう「色悪(悪事を働く冷血で美しい二枚目)」が「魅力溢れる」(?)キャラクターとして受け止められるような世相になっていたというわけです。

   このような、ある意味で「リアル」な人間観を前提とするならば、「悪の『華』を演じたい」という幸四郎の言葉も意味を持つことでしょう。すなわち、「悪は理屈を超える。僕の心の底にも悪へのあこがれがある。それが人間ではないだろうか。悪も行き着くところまで突き詰めたら魅力を放つ。それを舞台で表現するのが、歌舞伎劇の特色の一つだろう」というわけです。これを『スター・ウォーズ』流に表現するならば、フォースのダーク・サイドということになり、なぜダース・ベイダーに人気があるのかという秘密もそこにあるということになるでしょう。ただ、そうはいっても、欲望の充足のためには何をやっても倫理的に許されるということにはならないでしょう。すなわち、人間の様々な側面とその衝突を前提としながら、人類あるいは個人はどのような方向に進んできたのか、あるいは、進むべきなのかがやはり問題になるわけです。こうした点において、「忠義」を全うした四十七士とそこから「落ちこぼれた」人間たちに対する作者や観衆の受け止め方は非常に興味深いといわなければなりません。そして、同様なことは、河竹黙阿弥の「白浪もの」ー『子狐礼三』についても言え、この点については、次回に触れたいと考えています。

   最後に、幸四郎ー染五郎父子の関係についての感想を述べておきます。歌舞伎の世界はいわゆる「世襲」が基本のようですから、当然、父から子への芸の継承はかなり気になるところです。例えば、『連獅子』における今は亡き(17代目)勘三郎と(5代目)勘九郎の共演などをYouTubeでみると、父の芸を継承し越えんとする勘九郎の才能と心意気が強く伝わってきます。そうした視点で今回の公演を見ると、個人的には幸四郎にもう少しニヒルさがあってもいいのではないかと感じた一方、染五郎に対しては、お岩役での熱演はもちろん、鶴屋南北や大星由良之助などにおいても「風格」が感じられ、染五郎の舞台を直接見たのは3回目位でしかないのですが、かなりの「成長」と意気込みが感じられたように思います。両者は〈資質〉の点でかなり相違があるように感じられるのですが、染五郎が今後その〈芸〉を父親との関係でどのように展開していくのか大変興味深く思われました。

  
「ああ、面白かった!」ーー提灯が嬉しいねえ
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SARO MURIKI

Author:SARO MURIKI
おりこうさんのワンワンです。年齢は、2018年11月現在満12歳です。見てのとおりの柴ですが血統書はありません。性別はオスで、飼い主には、朝夕、45分ずつ2回の散歩を義務付けているVIP犬、正確に言うと、VIDです。文句あっか?!

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