2月の「楽」―文化編

人形浄瑠璃とダ・ヴィンチ展
 ―――「芸」と「術」の極致。そして、東京スカイツリー



   ※サロさんとの散歩の時間が増えています。それにしても、サロさんはいつになったら引っ張るのをやめるのでしょう。体力的にまだまだ負けています(汗)。ところで、家にいてもパソコンさえあれば飽きることはありませんが、しかし、舞台にしても、美術にしても、景観にしても、やはり、実物は〈迫真力〉が違うのです。今月は、文楽とダ・ヴィンチ展、そして、東京スカイツリーに行きましたが、どれもその〈迫力〉に圧倒される思いでした。


☆ 文楽公演 『靭猿(うつぼざる)』
       『信州川中島合戦』 輝虎配膳の段・直江屋敷の段 
                     (国立劇場・小劇場)


  ※近松門左衛門の作品を直に見たいと思い、国立劇場・2月文楽公演(第1部)に行ってきました。席も大変良かったのですが、義太夫と三味線の音そして人形たちの動きを大いに楽しみました。人形浄瑠璃の世界に一層引き込まれそうです。ところで、今回とりわけ強く感じたのは、近松の「〈人情〉優位の世界観」だったと思います。これを、単に、「情にほだされて改心する」陳腐なものと解するかどうかは、また、「思想的」な問題というべきでしょうが。

   まず、『靭猿』ですが、これはもともと狂言の演目でしたが、近松が『松風村雨束帯鏡』五段目の劇中劇として取り上げたものとのことです。話は、「我儘」な大名が自分の靭(矢の携帯ケース)を作るために猿曳の猿を殺して差し出すよう命じたので、猿曳は止むなく可愛がっていた猿を「安楽死」(?)させようと杖で急所を打とうとしたところ、猿はその杖を取ってこれまで教えられてきたように舟を漕ぐ真似をしたので、その姿を見た大名が「ヤイ畜生でさへ物を知って嘆くに、殿が物の哀れを知らぬといふは鬼畜木石に劣った、命を助けた、早や早や連れて帰れ」と言って、猿の命を助けるというものです。
   また、『信州川中島合戦』は、以前、歌舞伎で「輝虎配膳の段」を見ていましたが、今回、「直江屋敷の段」も通して見ることによって、新しい見方を獲得できたように思います。まず、印象に残ったのは、この2つの段を通して、「悪者」は一人も登場しないということです。そして、登場人物は、上杉と武田方に分かれ、その敵対的(仇)関係の中で「義理」に縛られつつ争うことになるのですが、親子や夫婦間の愛情、とりわけ、母の子に対する愛情、子の母に対する愛情、そして、それに対する他者の「共感」を仲立ちとして、そうした敵対的関係をある意味で乗り越え、相互的な理解と融和の可能性を示すことになるのです。「短慮高慢」な輝虎が、何故無礼な勘助の母を許し、また、勘助とその妻お勝を国に返し、そして、信玄に「塩」まで贈ったのか。いうまでもなく、それは、「人情」の原初的あらわれである「親子」の情愛に対する〈共感〉(惻隠・憐憫の情)からに他ならなかったということでしょう。実際、敵・味方、あるいは、種族や身分の異なるもの同士の相互的な理解と融和は、そうした感情抜きにしては成立し難いのではないでしょうか。また、今回の作品を見ることによって、『国姓爺合戦』などに見られる忠義のためには自分の子供をも犠牲にするといった設定は、封建的忠誠心を賛美するためのものなのでは決してなく、そうした最も原初的な情愛すらも否定する「武家」道徳のおぞましさや非人間性を際立たせるためのものであったに違いないと確信することができたのです。



☆ 『レオナルド・ダ・ヴィンチ─天才の挑戦』展(江戸東京博物館)

『糸巻きの聖母』が素晴らしい!
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  ※私は、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』を見たことがありますが、正直言って、それほど感激することはありませんでした。そもそも、私自身、絵や写真のモデルに〈心惹かれる〉ことはほとんどなかったように思います。しかし、『糸巻きの聖母』は例外です。これは素晴らしいです。かって、この絵の所有者は長期間の移動の際にはこの絵を持ち歩いたそうですが(NHK・総合『城から消えたダ・ヴィンチ「糸巻きの聖母」の数奇な旅』を参照)、その気持ちがわかるような気がします。また、ダ・ヴィンチの絵を描く力は群を抜いていたようで、彼の弟子たちが同様の絵を描き、会場にも展示されていたのですが、その水準は全く異なっているように思われました。

天才というのはやはり「おかしい」!
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  ※ダ・ヴィンチ展のもう一つの柱は、『鳥の飛翔に関する手稿』です。これは、彼の空を飛びたいという願いに基づいたもので、そのために鳥の飛翔を徹底的に研究しようとしたのでした。また、人物の描写においても、その探求は人体構造の解明からまさしくその解剖にまで及んでおり、なるほど、「天才」とはこういうものなのかと、その「異常」な〈集中力〉に唖然とせざるを得ないほどでした。きっと「天才」というのは「大変」なのに違いありません。


☆ 東京スカイツリー・天望デッキ(350m)と天望回廊(450m)

東京タワーが低い(天望デッキから)
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  ※ダ・ヴィンチ展を見終わった後、私はまだ東京スカイツリーに登ったことがなかったので、隅田川を北上しながら歩いて向かうことにしました。スカイツリーからの展望は想像以上で、遠くの山々まではっきり見ることはできませんでしたが、関東平野を見渡す360度の大展望でした。ただし、天望回廊までの3000円超は痛いですよね。でも、天望デッキとの100mの差は大きいと感じました。

隅田川と荒川沿いの街並み(天望回廊から)
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  ※私の次の「大江戸散歩」は、こちらの方向、王子・千住・柴又といったところを予定しています。とりわけ、隅田川と(旧)江戸川との間は、明暦の大火後、「両国(武蔵ー下総)橋」が架けられて以降発展した場所となります。スカイツリーから見ると、西側には高層ビルが林立し、東側には低層の民家が密集しているのがわかります。また、スカイツリーの眼下に見える運動場(グランド)には蟻より小さく見える人影がかなりのスピードで移動している様子が見られ、地上に暮らしている人間たちの力強さも感じることができました。

夕闇迫る富士山と新都心方面(天望回廊から)
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  ※展望回廊からの眺めは素晴らしものでした。とりわけ、日没の太陽の光を背に受けて姿を現した富士山の姿にはしばし見入ってしまいました。富士には2回登っていますが、望遠レンズを使えば、頂上から、スカイツリーや都庁舎そして東京ドームなども見ることができるでしょう。今年も、また、富士を真近かに見る旅に出たいと思います。

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SARO MURIKI

Author:SARO MURIKI
おりこうさんのワンワンです。年齢は、2016年11月現在満10歳です。見てのとおりの柴ですが血統書はありません。性別はオスで、飼い主には、朝夕、45分ずつ2回の散歩を義務付けているVIP犬、正確に言うと、VIDです。文句あっか?!

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