『ハトは泣いている―――時代の肖像』を観る―――「九条俳句」提訴1周年集会で

アベ政権への「忖度」と対決する「人民の元気」
  ―――「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」のなにが問題なのだ!





   ※少し前になりますが、6月25日(土)、「九条俳句」提訴1周年集会で、『ハトは泣いている―――時代(とき)の肖像』(監督・松本武顕)という映画を見ました。「都美術館事件」(=同館の彫刻作家展で中垣克久氏の立体作品に添えられた現政権への批判的文書に対し右翼から抗議、脅しを受け、館側が作品の撤去を要求)と「九条俳句事件」(=さいたま市の三橋公民館が「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」の句を公平中立の場である「公民館の意見と誤解される」と月報への掲載を拒否)という公的2施設による「表現の自由」の侵害を追ったドキュメンタリー映画です。両事件の詳細については、「可視化された表現の自由の範疇 〜美術館に作品の撤去を求められた芸術家・中垣克久氏インタビュー 」(http://iwj.co.jp/wj/open/archives/129037)や「九条俳句」市民応援団のHP(http://9jo-haiku.com/)などをご覧いただければと思います。また、このブログでも、『さいたま市公民館の「俳句掲載拒否」問題を考える』(2014/11/04)というコメントを掲載しています。

   さて、この映画は、「両事件の引き金は、改憲に向かう政権の意向に気遣う行政に蔓延する忖度(そんたく)」であるとし、また、その時行政によってとられた「公平中立」論の誤りを明らかにしようとするものでした。130分の長編でしたが、飽きることなく興味深く見ることができました。内容についての紹介は省略しますが、以下の2点についての感想を記しておきます。

   まず、「行政の中立性」についてですが、今回、この概念は、行政による市民の「表現の自由」を〈侵害〉する根拠として用いられました。しかし、私が「表現の自由」という言葉ですぐ思い浮かべるのは、ヴォルテールの「私はあなたの意見には反対だ。しかし、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る。」という言葉に他なりません。すなわち、行政は、主権者たる国民の〈多様な〉見解の公表を擁護こそすれ、妨げてはならないはずなのです。そして、公共世界(社会)に関するほとんどの言説はなんらかの政治的意味合いを含まざるを得ないと考えられますが、今回の事件は、この「九条俳句」(が示唆するだろうと行政が勝手に解釈した内容)に対するアベ政権の意向を忖度し、深く考えることもなく、まさしく、憲法第21条第2項が禁止する〈検閲〉を行ってしまったということなのだと思います。もちろん、「九条俳句」には人権侵害などなんら問題となる表現は含まれておらず、行政による〈掲載拒否〉は明らかに違憲であると考えられます。当然、掲載されなければならないはずです。

   2つ目は、「忖度」という言葉についてです。辞書を引けば、「忖度」とは「他人の心中をおしはかること」を意味します。しかし、日本社会におけるこの言葉の持つ意味合いには、かなり「深刻」なものがあると思われます。すなわち、それは、単に他者の気持ち推察したり、思いやったりすることなのではなく、どちらかというと、「空気を読む」とか「顔色を伺う」とか「長い物には巻かれろ」などといった、強者や多数派に対する「自発」的な〈同調〉や〈服従〉といった含意があるように思われるからです。それは、権力者による〈同調圧力〉への一つの反応様式であり、日本的な「ヘゲモニー支配」を支える重要な心理的機制の一つといってよいでしょう。そして、勿論、その背後には、そうした「忖度」を「強制」する、様々な「権力関係」と具体的「圧力」があるのです。こうした観点から、「ノンポリ」の俳句サークルで選ばれたこの句に対する行政の過剰反応は、そうした「忖度」をせざるを得ない圧力が近年強まっているだろうことを想像させるのです。とりわけ、アベ政権の成立以降、保守派の地方議員や職制上の上司からそうした「忖度」を半ば強制するような圧力が日常的に加えられていたのではないでしょうか。地方議会における「教育」に関する自民党議員の発言などを見ると、そうした可能性は非常に高いと考えられます。社会教育の場だけではなく、学校教育の現場などではどうなっているのでしょうか。

   私たちが最も心配しなければならないのは、私たち自身がこうした「忖度」のメカニズムの中に取り込まれてしまうことです。しかし、今回、この映画の中で紹介されている中垣克久氏や「九条俳句」応援団の皆さんたちの姿を見て、私たちがそうあらねばならない主体的な主権者としてのあり方を知ることができたように思います。そして、私は、彼らの姿を見て、中江兆民の「人民の元気」という言葉を思い出したのです。 


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SARO MURIKI

Author:SARO MURIKI
おりこうさんのワンワンです。年齢は、2016年11月現在満10歳です。見てのとおりの柴ですが血統書はありません。性別はオスで、飼い主には、朝夕、45分ずつ2回の散歩を義務付けているVIP犬、正確に言うと、VIDです。文句あっか?!

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