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大江戸散歩―――深川・芭蕉を訪ねて

  物いへば 唇寒し アベの秋
    秋おかし 「お上」は何を する人ぞ



   ※丁度『松尾芭蕉集』(日本古典文学全集)を読んでいたところに、友人から深川の芭蕉記念館に行くのはどうかという話がありました。「ラッキー!」と、さっそく、地下鉄三越前から清澄白河に向かおうとしたのですが、地下通路に長蛇の列を成している、金魚の展覧会への入場を待つ人々の姿に唖然としてしまいました。それにしても、アートアクアリウムの「金魚」と芭蕉の「蛙」とでは随分〈趣〉が違うのではないでしょうか。ところで、私たちの目的地である深川は、〈木場〉や〈深川芸者〉など、時代劇でもお馴染みの場所ですが、確かに、その「下町情緒」は、無粋な田舎者たる私にとっては、非常に興味深く感じられるものでした。当日の行程は以下のとおりです。

  【行程】 9月23日(金)
    地下鉄清澄白河駅―芭蕉稲荷神社―芭蕉庵史跡展望公園
    ―芭蕉記念館―(昼食)―深川江戸資料館―清澄庭園
    ―清澄白河駅


なぜか旧知の人に巡り会えたような?!
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  ※芭蕉庵史跡展望公園は、小名木川と隅田川の合流点を見下ろす川縁の高台にありました。なるほど、四季折々、あの川面に映る月の姿などを見ていたら飽きないことでしょう。近くにある芭蕉稲荷神社では、「芭蕉遺愛の石の蛙」が出土したとされていますが、〈自然〉の中に溶け込み、〈自然〉を目一杯楽しみ、慈しんでいるように見える蛙の姿にはなにかしら共感できるものがあるように思えます。私もサロさんと一緒に暮らすようになってから彼の喜怒哀楽の感情を強く意識するようになりました。そうした中で、私自身も〈自然〉の中に生きる一個の存在なのだとしみじみと感じるようになったのです。




蛙との記念写真が嬉しくなった今日この頃
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  ※友人との大江戸散歩も回を重ね、ますます面白くなってきています。それにしても、「照れ屋」の彼はこうした写真など写さないだろうと思っていましたが、実際は、相当喜んでいますよね(笑)。芭蕉は「不易流行論」を説き、そして、江戸の元禄時代に「かるみ」を説いたわけですが、21世紀のこの時代に芭蕉記念館を訪れ、こうした写真を撮って帰る私たちにも、「芸術」の歴史貫通的な普遍性とともに、時代と文化によって異なるその表現の多様性を柔軟に受け入れる心があっても良いことでしょう。蛙好きで歌好きのあの人の写真もこのセットで撮ってみたいものです。当日、記念館では、「江東地域の人物と文芸」という前期企画展も行われていました。とりわけ、御馴染みの紀伊国屋文左衛門や平賀源内(風流来山人)の絵姿が面白く感じられました。




芭蕉庵 下手でも出てくる 歌心
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  ※登山で足を痛めた私は、「今後はツーリングかな?」などと考えながら、芭蕉の紀行文(「野ざらし紀行」・「鹿島詣」・「笈の小文」・「更科紀行」)や日記(「嵯峨日記」)を読んでいました。特別〈歌心〉などない私ですが、日本の風土と文化の中で生きてきたせいでしょうか、やはり、芭蕉の作品には惹かれるものがあるのです。先日、『ペシャワール会報』(7月16日、128号)で、中村哲さんの「虚飾の時代です。利を得るのに手段を選ばず、欺き、殺してまで目先の富を守ろうとする風潮が、世界中で目につきます。『近代』は実を失い、道義の上で既に廃頽しました。経済成長という怪しげな錬金術にすがり、不老不死の夢を追い、自然現象まで科学技術で制御できるかのような進歩信仰は虚しく、人間の品性と知性は却って退化したようにさえ思われます。」という文章に出会いました。振り返って、芭蕉の句を思い起こせば、それは、虚飾を廃しながら、私たち「一般ピープル」の身の回りの日常的な生活の中で起こっている「風雅」な出来事や関係性に気付かせてくれるもののように思われます。「古池や 蛙飛びこむ 水の音」―――今、私たちは、現代のどのような情景の中に、同質の普遍的美しさを見出すことができるでしょうか。





江戸庶民の生活を身近に感じられる最高の企画!
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  ※芭蕉記念館を出て、中国人夫婦が経営する小さな中華料理店で昼食をとり(私の750円の肉野菜炒め入りのラーメンはうまかった!)、江東区深川江戸資料館に向かいました。私は、両国の江戸東京博物館よりもこちらの方が断然面白いと思いました。なぜなら、常設展示室の「江戸の街並み再現」(深川佐賀町)が素晴らしく(さらに、11月13日まで、企画展示室で「長屋〜住まいと暮らし」を見ることができます。)、江戸庶民の住居や店、長屋や蔵などに直接入って、物質的なシンプルさと精神的な濃密さの融合とでもいうのでしょうか、とにかく当時の生活の有様を豊かに想像させてくれるからです。とりわけ、ボランティアのガイドさんの興味深い話を聞きながらですと、本当にそこに住んでいた人々のことが目に見えるようにさえ感じられるのです。絶対に、お勧めです!時代劇ファンにとっては必見と言えるでしょう。




国芳は東京スカイツリーを予言した?
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  ※ガイドさんの話には面白いものがたくさんありましたが、その中の一つがこの国芳の「東都三ツ股の図」です。隅田川の向こうに高い塔が2つ立っていますが、左のものは展示場にも再現されていた〈火の見櫓〉です。それでは、右の、現在の東京スカイツリーをも想像させるものは何なのでしょうか? 答えは、〈井戸を掘るための櫓〉なのだそうです。隅田川の西側は神田上水や青山上水のように上水道が整備されたわけですが、隅田川の東側は、浅い井戸の水は塩分が強すぎて飲用には用いることはできず、水売りが川に流れ込む上水道の水を船それ自体で受け止め、小分けにして売って回っていたのだそうです―――真水は本当に貴重なものだったのですね!そんな中、大きな武家屋敷では(塩分の影響をできるだけ避けるため)深い井戸を掘ったのだそうで、そのため、あのように高い櫓が必要だったというわけです。この他にも、当時の人々の生活を偲ばせる様々な技術や文化の香りを楽しむことができました。本当に楽しい一時でした。





清澄庭園を彩る彼岸花
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  ※ 帰りがけに、東京都立清澄庭園に立ち寄りました。この庭園は、紀伊国屋文左衛門や岩崎弥太郎と所縁のある庭園とのことですが、その規模と贅沢さにはやはり驚かざるを得ないところでした。また、園内には昭和の初期に芭蕉庵に建てられた「古池の句」碑が移設されてありました。ともかく、芭蕉はこの深川の地から「奥の細道」の旅に出発したわけなのです。ところで、私には、庭園を彩る季節の花〈彼岸花〉が非常に印象的に感じられました。彼岸花はこの季節田舎の畑や田んぼにもよく見られますが、友人の話によると、あれはモグラ対策でもあるのだそうです。実際、庭園の土の部分にはモグラの穴らしいものがいくつも見つかりました。モグラは彼岸花の何が嫌いなのでしょう。自然とはユーモラスなものでもあります。



  実は、今日から4泊5日で沖縄に行く予定でした。しかし、家族に体調をこわしたものが出たので、私は行くのを中止しました。そして、今日は、久々の好天。今、ブログを書き終わり、これから、畑にでも行ってこようと思っています。
  それにしても、アベ政治は、「風雅」のカケラもない「虚飾」そのものといった代物です。しかし、こんな政治に晒されている不運な「性」を嘆いてばかりいても仕方ありませんから、近いうちに、「一般ピープル」の一人として、「風雅」な〈旅〉に出かける予定でいます。サロさん!その時は、少し我慢してね。
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プロフィール

SARO MURIKI

Author:SARO MURIKI
おりこうさんのワンワンです。年齢は、2018年11月現在満12歳です。見てのとおりの柴ですが血統書はありません。性別はオスで、飼い主には、朝夕、45分ずつ2回の散歩を義務付けているVIP犬、正確に言うと、VIDです。文句あっか?!

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