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『ペンタゴン・ペーパーズ』を観た

  アメリカ「人民」の矜持
     ―――「公共」的理念を体現するヒーローとして!


   ※昨日、映画から帰ってテレビをつけてみると、高畑勲氏が亡くなったことが報じられていた。82歳だった。私が一番泣かされた映画は『火垂るの墓』だったし、また、最近見た映画の中で最も印象的な作品は『かぐや姫の物語』だった。私も、彼のように、美しい自然と愛すべき人々を慈しむことのできるような人生を、そして、もっと長生きしたいと思えるような人生を生きなければならないとは思うのだ。しかし、私は、高畑氏と先日自殺した西部氏とのどちらに似ているのだろう。ただ、高畑氏には、衷心よりご冥福をお祈りしたいと思う。

   さて、昨日、私は、「奥さん」と「姉貴」と共に、ステーヴン・スピルバーグ監督作品『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』を観てきた。1971年の「ペンタゴン・ペーパーズ」の暴露当時、私はまだ大学生で、ベトナム反戦運動に大きな影響を与えたこの事件についてかなりはっきり記憶している。さらに、『ソフィの選択』のメリル・ストリープと『グリーンマイル』のトム・ハンクスという2大名優の共演は大変魅力的で、数ヶ月前から楽しみにしていた作品だった。見終わった感想も、微妙なニュアンスの把握に難しさも感じたが、アメリカ「人民」の「個」としての矜持が強く感じられ、感動させられる作品だった。

   私が大きな感銘を受けたスピルバーグの作品に『アミスタッド』(1997年)があるが、それは、奴隷貿易が行われていた当時のアメリカで、黒人奴隷の解放のために闘ったアメリカ白人(弁護士と政治家)の物語である。困難な状況の中でも、建国の理念を我がものとしつつ、ごく当然のことのように粘り強く闘う彼らの姿は眩しいほどだった。また、今回の『ペンタゴン・ペーパーズ』は、「合衆国憲法」修正第1条(言論・報道の自由など)の精神を〈体現〉し、「報道の自由は報道によってしか実現できない」と、強大な国家権力に抵抗するリスクを負いながら、人民のため、国家の最高機密の紙上への掲載を決断・実行した『ワシントンポスト』紙の女性社主と編集主幹の物語だ。アメリカには、こうした「理念」を勇気を持って貫く、強い「個」(「ヒーロー」たち)が少なからず存在し、それがアメリカの〈公共〉的世界を作り出してきたといってよいのだと思う。そして、こうしたことこそが、例えば、トランプ政権下、「銃規制」を求めて広範に活動する高校生たちの動きの基底となり、彼らの表情に「アメリカ人民」としての〈矜持〉を浮かび上がらせているのだと思う。

  もちろん、ニクソンやジョンソンだけではなく、ケネディもマクナマラも国民に「嘘」をつく権力者に他ならなかった。しかし、そうであっても、ベトナムへの軍事介入を推し進めたケネディは、その後、ベトナムからの米軍の撤退を考えていたのであろうし(『JFK』)、また、のちに、あのトンキン湾事件の真相を含む『回顧録』を書いたマクナマラは、後日の検証のために、ベトナム戦争関連の記録をまとめるよう指示していたのだった。そして、そうした研究員の一人こそ、「ペンタゴン・ペーパーズ」をリークした、エルズバーグに他ならない。つまり、ベトナム戦争の誤りに気づいたアメリカ「エリート」の一部の動きが、アメリカ「人民」に真実を伝えることになったこの事件の基を準備していたということになるのだ。もちろん、アメリカ人はエルズバーグやキャサリンやベンのような人物ばかりではない。そして、さらに、彼らとて「聖人」というわけではない。しかし、アメリカの「公共」的世界には、自浄作用を働かせることが出来る「制度」と「文化」、そして、なによりも、権力に対峙する「人民」とそれと有機的に結びついた「知識人」・「エリート」が存在していると言えるのだ。トランプ政権の樹立を機に、スピルバーグによって製作されたこの映画も、その表れの一つに違いない!

   また、この映画を見ながら、私は、これは私たち日本人のために作られたのではないかという錯覚さえ覚えた。もちろん、それは、モリ・カケをはじめ、これまであきらかにされてきたアベ政権と官僚機構による情報の隠蔽・捏造・改竄の有様がその背景にあるからだろう。そして、真実の解明をことごとくサボタージュしてきた挙句、次から次へと明らかになってくる事実を前に、その醜い〈反国民〉的本性を晒しているのは、「アベ友」ばかりなのではない。今、眼前の「アベゲート」をしっかりと批判できない連中は、アベと同じ穴の狢に他ならない。私たちは、アベであろうが、トランプであろうが、プーチンであろうが、習近平であろうが、キム・ジョンウンであろうが、政治権力の独裁的・専制的な行使を許してはならないのだ。『ペンタゴン・ペーパーズ』が提起している問題は私たちにとって極めて身近で深刻なものと言えるのだ。

   私がこのブログを書き始めた時、「奥さん」と「姉貴」は、早速、借りてきた『大統領の陰謀』を観ていた。私は、今、『シンドラーのリスト』のシンドラーや『プライベート・ライアン』のミラー大尉のことを考え始めている。政治や権力者に翻弄されながら、「一般ピープル」はどのようにその「志」を貫き、生きていくことができるのか。難しい!しかも、人生は一度しかないのだ。

花とワンワン
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SARO MURIKI

Author:SARO MURIKI
おりこうさんのワンワンです。年齢は、2018年11月現在満12歳です。見てのとおりの柴ですが血統書はありません。性別はオスで、飼い主には、朝夕、45分ずつ2回の散歩を義務付けているVIP犬、正確に言うと、VIDです。文句あっか?!

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