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「日本人」って何だ?―――「人種主義」を超えて!

「単一民族」国家観の虚妄と排外主義的「愛国主義」の落とし穴
 ―――「日本人」の「長所」の一つは、異質な他者を受け入れ、共存してきたことかもよ

  
   暑い中ではあるが、8月に入って、2冊の本を読んだ。戸谷学『鬼とはなにか―――まつろわぬ民か、縄文の神か』(河出書房新社 、2019)とB.スマッカー『六月のゆり』(ぬぷん児童図書出版、1979)だ。両書とも読み始めたら止められない面白さがあった。前者は、全国の神社(神道)研究の成果を踏まえたもので、私が抱いてきた民俗学的、文化人類学的興味に十分応えてくれる内容だった。一例を挙げれば、(遺伝子情報が縄文系「優位」だったろう)南方熊楠と(弥生系「優位」だったろう?)柳田國男との関係の指摘なども大変興味深かった。著者の問題意識は、言うまでもなく、「縄文」の復権だ。後者は、黒人奴隷の少女ジュリリー(6月の百合)が、「一人の友におおぜいの友を」を合言葉とする「地下鉄道」に乗って(―――奴隷制度に反対する白人たちの手助けを受けながら)、アメリカのミシシッピからカナダのセント・カサリンズまでの約2000㎞を逃亡する話だ。その中で描き出される人種差別主義者たちの醜さ、そして、人間の”自由”のために戦う人々の姿は感動的だ。そして、現在のアメリカ大統領がこの本の登場人物の誰たちに似ているかは言うまでもない。恐ろしいことだ。

   ところで、最近テレビを見ていると、「日本人とはなにか」―――日本語を喋り、「日本文化」の中で生きている”(北方)モンゴロイド”―――といったイメージに改めて疑問が湧いてくる。テレビに出てくる司会者やスポーツ関係の人たちに、肌の白い人や黒い人たちがたくさんいるのだ。その多くは混血(ハーフだったりクオーターだったり)のようだが、日本人より日本人らしい他人種の人や、見た目には全く区別のつかない東アジア系出自の人たちも多いことだろう。さらに、私の周りを見回すと、息子さんや娘さんが他人種の人と結婚した例がけっこうある。そして、そのお孫さんたちは、「日本人」らしい「風貌」とは異なることが多い。昨日、小泉進次郎が滝川クリステルとの結婚を公表したが、もしかすると、日本の首相の妻が「ハーフ」ということになる日が来るかもしれない。要するに、「日本人」という概念の中に含まれていた「人種」的な要素が風化しつつあるのだ。これまで「日本人」=「単一民族」という観念を強調し、しばしば、「ショービニズム」(熱狂的愛国主義、排外的愛国主義)的主張を行ってきた人たちはどう思うのだろうか。

   ただ、「日本人」はもともと、”多人種”的性格があったというほうが正確なのかもしれない。今、手元に見当たらないので正確なことは言えないが、神島二郎は、『文明の考現学―<原日本>を求めて 』(UP選書、1971年) の中で、留学から日本に帰ってきた時、こんなにいろいろな「顔」(人種・民族?)がある国は珍しいのではないかと感じたと述べていたと記憶している。つまり、この極東の端っこの島国に本当にたくさんの人種・民族が流れ来て混血を繰り返したということだ。現代「日本人」の遺伝子の中には、縄文系も弥生系も、朝鮮系も中国系もモンゴル系も白色系も、そして、ネアンデルタール系のそれすら含まれているのだ。もちろん、それぞれの「人種」的・「民族」的アイデンティティも重要だろうけれど―――とりわけ、他人種や他民族による差別や抑圧に直面した時には―――、私たちは同じ「人類」としてのこの現実をこそ重視すべきだろう。

   滝川クリステルが「日本的」かどうかはわからない(もちろん、日本人だ)。しかし、彼女がいうところの「おもてなし」なるものが、外来者(「まれびと」etc.)を興味深く、温かく迎え入れた「日本文化」の〈一つの側面〉を表現しているのは確かだろう。昨今流行りの、奇妙な”排外主義”的な自国第一主義よりもはるかにまともだとは言える。


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SARO MURIKI

Author:SARO MURIKI
おりこうさんのワンワンです。年齢は、2018年11月現在満12歳です。見てのとおりの柴ですが血統書はありません。性別はオスで、飼い主には、朝夕、45分ずつ2回の散歩を義務付けているVIP犬、正確に言うと、VIDです。文句あっか?!

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