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戦争が遺したもの――鶴見俊輔・上野千鶴子・小熊英二

  最近我が飼い主は、夜の散歩から帰ってきて風呂に入るとすぐ寝てしまうので、ブログの方にはさっぱり手が回らなかったが、今日は、人間ドックに行ってきたんだそうで、「なあ、サロさん。最近のバリュウムはずいぶん飲みやすくなってるんですよね。でも、検査技師のお兄さん、小さいポリープがたくさんありますね,なんて言ってましたよ。私ももうそろそろですかね。サロさんとどっちが早くなるでしょうね。ははは・・・」などといいながら、次のような記事書きました。なんじゃ。
 
 
  昨日、鶴見俊輔・上野千鶴子・小熊英二の対談集『戦争が遺したもの―――鶴見俊輔に戦後世代が聞く』を読み終えました。読書の秋9月に入ってから8冊目の本でしたが、今日図書館に返えすために必死に読んだのでした。

  本書は、鶴見ファンにとっては垂涎の体験談や裏話が満載で、とりわけ、「 戦後編」は、純情でやんちゃな暴れん坊が、体を張って「大義」を貫く様々な人々との交流の中でうらやましいほどの友人関係・人間関係を作り上げていく様を堪能することができます。しかし、それにしても、知識人たちが、このような「村」のごとき狭くて濃密な関係を持っていたとは驚きでした。でも、まあ、そんなものなのでしょうね。また、上野千鶴子さんの本も何冊か読んだことがありますが、彼女がマッチョ吉本隆明のファンであり、また、どちらかというと「義理と人情を秤にかけりゃ、義理が重たい『男』の世界」的な雰囲気を醸し出している鶴見氏にサインをせがむ姿などを想像すると、これまた、まあ、そんなものなのでしょうね、などと微笑してしまうのです。

  さて、本論に入りましょう。一読した限り、この本は、戦後の代表的知識人の一人、鶴見俊輔氏の思想の基底にある価値観ないし『心情』を、彼自身の体験談から浮き彫りにし、それによって、鶴見氏の「<民主>と<愛国>」(小熊氏)とはなにかをよりわかりやすく示そうとしたもののように思われます。そして、そうした観点からのキイワードは何かというと、それは「やくざの仁義」そして「パトリオティズム」ということになりそうです。前者は、信義に基づく人間結合の一原理(一種のアナーキズム)であり、後者は、「国家」の「ナショナリズム」に対立するところの「くに」―――具体的な人間関係からなる「社会」的結合?―――に照応するものといえるでしょう。こうして、戦前・戦後を貫いて国家の「公」に対抗する鶴見氏の二つの「原理」が提示されたことになるのです。
   ところで、鶴見氏の「やくざの仁義」とは、戦中の兵士・鶴見氏がまるごと天皇制国家に飲み込まれるのを防いだものであり―――そして、それは戦前の多くの「転向」の基盤となった価値観・「心情」とは対極にあるものだ―――、また、戦後の鶴見氏の60年安保やべ平連運動を支えた基底的な価値観・「心情」を表すものにほかなりません。もちろん、鶴見氏が「武士の仁義」などといえば、それこそ読者は<まっしらけ>となるでしょうが、そこは一番好きの優等生ならぬ元「不良少年」の鶴見氏が、大人になって「武士」ならぬ「やくざ」に成長することによって(?)、われわれやくざ映画に親しんできた層の鶴見氏への親近感を大幅にアップさせることになるわけです。
  ただ、ここで確認しておくべきことは、鶴見氏が「やくざの仁義」を体制への「抵抗」、「反逆」を支える思想・倫理として積極的に評価しているだろうことです。もちろん、それを、いわば反体制「エリート」の弱きを助け、強気をくじく「任侠道」といったレヴェルでおさえる限り、話としては面白いという程度でしょうが、問題はもう少し広く深いものに違いありません。すなわち、それは、、封建的支配層のイデオロギーたる儒教的倫理の「庶民」層への教化と浸透をどう把握し評価するのか、そして、そうした儒教的倫理と支配的体制への「反逆」や「抵抗」(さらには「変革」の構想)との関係をどう考えるかの問題です。そして、こうした問題を、まさしく、ノン・エリートたる『一般ピープル』の視点から批判的に検討していくということが私MURIKIの問題意識のひとつなのですが、それは、現在構想中のホームページの中でじっくり展開していきたいと考えているところです。

 以上、小熊氏の『<民主>と<愛国>―――戦後日本のナショナリズムと公共性』における厳密かつ格調高い鶴見論とはかなり違いますが、いわば、私の私的感想として述べてみました。鶴見氏も小熊氏の鶴見論をそのまま受け入れているわけでもなさそうですから、さまざまな水準で論じられることは許されることでしょう。
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SARO MURIKI

Author:SARO MURIKI
おりこうさんのワンワンです。年齢は、2018年11月現在満12歳です。見てのとおりの柴ですが血統書はありません。性別はオスで、飼い主には、朝夕、45分ずつ2回の散歩を義務付けているVIP犬、正確に言うと、VIDです。文句あっか?!

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